© Successió Miró / ADAGP, Paris 2020

1989年3月29日にルーヴル美術館の中庭に完成したピラミッドは、わずか数年のうちに同美術館とパリを象徴するモニュメントとなりました。その30周年イベントの一環として、ルーヴル美術館はフランス出身のアーティストであるJR（ジェイアール）氏に記念アート作品の企画を依頼しました。JR氏は2016年にもピラミッドが消えてしまったかのように見えるアート作品を披露しており、今回は400人の参加者とのコラボレーションによるモニュメント制作を通じて、その秘密を解き明かしていきます。これは同氏にとって過去最大のコラージュ作品となります。トリックアートによる視覚効果を計算し、紙片をのりで貼っていく作業が進むにつれ、パリを象徴する建造物であるピラミッドが実はルーヴル宮殿よりも前から存在していたかのように思わされるでしょう。何千年もナポレオン広場に埋もれていたピラミッドの基礎部分が発掘された暁には、イオ・ミン・ペイ氏による最高傑作の壮大なスケールを誰もが実感できるはずです。

バルーン・ドッグには、古風な彫刻の深みがあります。

同名のオリジナル彫刻は、外側が透明、ブルー、マゼンタ、オレンジ、レッド、イエローのニスで塗られ、鏡のように滑らかに磨いた高精度のステンレスで作られています。高さ3メートル、重量1トンにもかかわらず、バルーンドッグの描写には、いかなるディテールもおろそかにされていません。記念碑的彫刻に使われている鏡面光沢を模して、磁器製のバルーンドッグ（イエロー）にも、メタルイエローの光沢を反映させるという、クーンズの特徴であるアートに対する厳格さを見て取ることができます。

ジェフ・クーンズは、その技術の高さからベルナルドを選びました。この複雑なプロジェクト実現にあたっては、彫刻師から装飾家、エナメル職人に至るアトリエのすべての職人の技術を総動員したばかりでなく、アーティストの要求に応えるために、最新技術を採用する必要性もありました。

著作権：ジェフ・クーンズ

アメリカ人アーティスト、ジェフ・クーンズは、ベルナルドとのコラボレーションによって、磁器を使った象徴的な花の彫刻「スプリットロッカー」を限定版で誕生させました。

「私は、金銭面とセクシュアリティの両面から常に磁器に興味を抱いていました。磁器は窯の中で収縮するため、緻密な質感があります。磁器はかつて皇帝のための素材でしたが、やがて大衆に普及し、現在では誰もが使うようになりました。私がこの素材をバナリティ・シリーズに使用したのも、こうした長所のためです。ベルナルド・コレクションに加えることができてたいへん光栄に思っています。」ジェフ・クーンズ

スボード・グプタにとって、料理は実務面とコンセプト面の両面から、活動の中心となっています。そのため、食器にグプタのデザインを採用するのはごく当然だと言えるでしょう。この陶器に描かれているのは、食事の最後に出されるデザートプレートに残された鮮やかな色と、置かれたスプーンのだまし絵です。食べ残しした甘くておいしそうなデザートを想像するのと同時に、描かれた絵を食べたいという不思議な感情を抱きます。

1968年5月に起きたフランスの五月危機から50年を機に（1968-2018）、ベルナルドは一風変わった記念オブジェを作りたいと考えました。学生の暴動から始まった革命のシンボルである敷石を磁器で作ったのです。その後、メゾンはアーティストのバシュロ＆カロンに依頼し、ジル・カロンの著名な写真をオブジェの各面に加えるという「手直し」を行いました。

敷石は、1968個限定の無地のホワイトモデル（素焼きの磁器）とデモ、パリ、権力、1960年代という4つのテーマを扱ったシリーズによるデコレーションモデルをご用意しました。シリーズはテーマごとに68個限定で、すべてに番号がつけられています。

思いがけない方法から、ジョアン・ミロの作品に触れる。この主義に基づいて、ミロの後継者ジョアン・ミロはベルナルド・メゾンに自分の意図を伝えました。厳しい要求とのコラボレーションから生まれたのが、彼の著書『独り言』の抜粋に基づくテーブルセット。そこでは、磁器の真実が画家に大きな自由を約束し、楽しい食事を提案します。

「私の祖父は磁器が大好きでした。」ジョアン・プニェット=ミロはこう語ります。この言葉は、 Successió Miróのアーカイブを調査し、元の資料を見つけ、真実をねじ曲げることなく磁器上で表現するための見えない糸になっています。

© Successió Miró / ADAGP, Paris 2020

「…私は常に自分の作品によって、見る人の様々な行動を挑発し、思考力、比較力、分析力、創造力、行動力を発達させることによって、無気力、依存性、思想操作と戦うすべを模索してきました。」

キネティック・アートとオプティカルアート（視覚芸術）の先駆者でG.R.A.V.（ビジュアルアート研究グループ）の創設メンバー、さらに1966年にヴェネツィア・ビエンナーレで国際賞を受賞したジュリオ・ル・パルク（1928年にアルゼンチンで誕生）は、美術史を象徴する人物です。彼の作品は、光、色、エネルギー、動きを組み合わせた感覚的な体験を与え

てくれます。ベルナルドとのコラボレーションを見ると、この不屈の芸術家の取り組みが、どれほど現代的で、遊び心がありかつ斬新であるかがわかります。

「このプロジェクトでは、プリュンヌと私は、人間にとってもっとも重要な『道具』である手を強調したいと考えました。手は飲み物の器にもなれば、食べ物をつかむ道具にもなります。ダーウィンは、『もし人間が、手の使い方を知らなかったら、これほど支配的な地位を占めることはなかっただろう』と言いましたが、まさにそのとおりです。」ここでは、自分たちの手を写真に撮りました。家庭ではテーブルセットは先祖から受け継がれますが、実際に私たちたちが譲り受けるのは、先祖の写真とお皿だけです。ここでは、お皿の上に直接先祖の写真が映されています。私たちはニューヨークに住んでいますが、アーティストのコミュニティを作り、毎月大きな夕食会を開いています。各々が持ち寄り、皆で料理を作ります。テーブルは皆でおいしい物を分かち合う要の場所、ライフスタイルの中心です。 10年前、私とプリュンヌは共同で、初の展示会「トワ・エ・モワ」を企画しました。私たちの経歴のごく始まりです。これらのお皿は、私たちにとって論理的で象徴的なコラボレーションです。」プリュンヌ・ヌーリー & JR

1952年に、マルク・シャガールが娘のイダの結婚式のために、ヴァロリスで製作した限定版（225セット限定）です。ピースごとに異なる絵は、加筆することでよりいっそう明暗を引き立たせており、シャガールが好んでテーマに選んだ、女性、カップル、花、サーカス、動物を通して詩、優しさ、ファンタジー、画家の世界が描くユーモアと豊かさを共有します。

12人の人物が描がかれ、それぞれにマルク・シャガールの印判と番号が入れられた全69点からなるテーブルセット「イダのために」は、225セット限定で、証明書が添付されています。

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© ADAGP、パリ、2020年 - Chagall ®

アメリカのアーティスト、アレクサンドル・カルダー（1898年-1976年）がフランスに寄せた愛に敬意を表して、カルダー財団は、彼が1940年代と1950年代に製作したモビールの中から6点を選び、ベルナルドに磁器の製作を依頼しました。作品には、公の所蔵と個人所蔵のものが含まれます。アーティストの多彩なモビール創作を示す、一貫して同じ系統の作品が選ばれました。作品は、空間の複雑さ見事にとらえ、黒と赤のシルエットを垂直に重ねる構成で、無限の可能性をもつ周囲の空間を満たしています。これらのモビールからは、世界中の愛好家のインスピレーションを豊かにし続けるすばらしい要素が放出されています。

「チュール網」コレクションは、デコレーションに磁器を使うという陶器への不変の情熱に応えながら、建築、デザイン、自然を研究してきたアンドレア・ブラジンの成果です。

18世紀にナポリのカポディモンテ美術館で開かれた「磁器見本市」にインスパイアされたアンドレア・ブラジンは、鏡の上に磁器のパーツをいくつも貼り、見える物と反射する物の区別を破壊するような作品を作りました。

シャルル・ガルニエは、パリ・オペラ座の正面を飾る彫刻を、当時超一流のアーティストたちに委託しました。その後1874年には、オペラ座のチーフデザイナーで世界的にも知られるリュベとシャプロンに、大休憩室の西側奥の「太陽の間」と「月の間」の装飾を依頼します。それらは、訪れる人々が「太陽の間」では冷たい雰囲気を、「月の間」では暖かい雰囲気を感じるように仕上げられています。
同名を冠するサロンの天井装飾からインスパイアされたこの2枚のトレイは、当時最も装飾的で美しいと絶賛された19世紀の贅沢さと美を表現しています。

カラ・ウォーカーは、人種、ジェンダー、セクシャリティ、バイオレンスなどをテーマに活動を行っています。黒いシルエット（切り絵）を、大がかりなインスタレーションや彫刻、または小さな紙や水差しに使うことで知られています。彼女の作品は、過去と現在における人種へのステレオタイプな考えを提示し、南米の内戦前の人種差別や奴隷制度に問題を投げかけるだけでなく、アメリカに根深く存在する偏見への認識を喚起しています。